建物の建設工事は、基礎や躯体や内外装工事の建築工事と電気や空調や給排水衛生設備などの複数の設備工事で構成されています。
このうち電気設備工事は、照明器具やコンセントの設置だけでなく、電力会社からの電気を受電する受電設備や、受電した電力を分配する配電工事、自動火災報知機や放送設備などの複数の通信工事があります。機器の接続には、電源も通信もケーブルや電線が用いられます。ケーブルは、導体である銅線と絶縁体で覆った電線をさらにシースと呼ばれる被覆で覆ったものであり、多くの現場で使用されています。
配線方法としては、電線管に入線して地中に埋設したり、天井内や壁内に隠ぺい配線したり、機械室で電線管に入れて露出配管するなどの施工方法があります。天井内の隠ぺいケーブルは、天井材の上をころがして配線する場合と、天井内の吊りボルトに複数のケーブルを取り付ける場合があります。何本かのケーブルを結束バンドで一つに束ねることは、電気工事の技術基準上は問題ありませんが、流れる電流によって発生する熱によって結束バンドで束ねられる本数には上限が規定されています。
基準を守らないと、発熱によってケーブルの燃焼や火災の発生につながる恐れがあるので注意が必要です。また、電力ケーブルと通信ケーブルや信号ケーブルを共に束ねることは、相互の信号干渉を引き起こし機器の誤動作に繋がるため認められていません。結束バンドによるケーブルの結束は、技術基準を守って適切に施工すれば、確実な施工と安定した運用が期待でき、竣工後の維持管理時もメンテナンスがしやすくなります。